「REGRESS」は新たな“原点回帰”のイベントであった。~「Beatbox Battle REGRESS」振り返り座談会レポ~
「REGRESS」は”昔”も”今”も入り混じったイベントであった。
おた:Justinさんのリップベースは床が震えて、EX-Fさんもローの音で壁や配管が揺れてましたね。
84:決勝のEX-Fさんの音の重さ(配信だと)伝わってないなーって思って。2ラウンド目に返してたと思うんですけど、マジで本当に。おたさんがずっと「揺れてる!?」って言ってましたね(笑)
イマリ:それはやっぱ現場ならではだよね。
84:だから、(結果が)どうなんだろうって思って。今回決勝はジャッジがGoogleフォームでの投票だったじゃないですか。
イマリ:そうだったね。
84:現場組と配信組とどう分かれてたんだろうって思って・・・。結果も僅差だったのかな・・・って。
イマリ:配信組はどうだったかな・・・もう投票できること自体に夢中になっていた気がする。「我々も投票できるの!?やったー!みんな投票しようぜ!!」みたいな(笑)
84:現場組電波悪すぎて「え!?一回外行こう!」ってなって、私も入口のところまで行って投票しましたもん(笑)
イマリ:会場って地下だったの?
84:地下でしたね。
イマリ:じゃあ、電波遠いわ(笑)
84:「投票できん!電波ない!!」って(笑)MCのYUTAさんからも「投票できない方は一回外に出てもらって~」って言われましたね(笑)
イマリ:ジャッジで思い出したんだけど、今回全部ジャッジがオーディエンスだったわけじゃん?オーディエンスがよかった方に拍手をして、それを陪審員が聞き分けるっていう、ここ最近のバトルにはなかった形式だったけど・・・。あれは実際、どうだった?
84:私結構好きでしたね。拍手聞いて僅差だったら「どっちだ!?延長か!?」っていうわくわく感がありました。あと、みんなこぞって「延長!延長!」言ってましたね(笑)
イマリ:だろうね(笑)
おた:個人的にはオーディエンスジャッジは今回のコンセプトにすごい沿ったような。オーディエンスがひたすら湧くようなのイベントにするっていう意味では、あっていたかなって思いましたね。Twitterでもツイートしましたけど。
イマリ:イベントのコンセプトの“原点回帰”の話なんだけど、ここ最近開催されたイベントってプレイヤー側とオーディエンス側がくっきり分かれていた印象だったのね。JPNCUP(2022年3月開催)とか参戦して思ったんだけど、完全にプレイヤーはプレイヤー、オーディエンスはオーディエンスってきっちりカチッと分かれていたなと思って。分かれているのはそれはそれでいいとは思うんだけど、なんか割とREGRESSはそういった意味では、オーディエンスも、配信組も巻き込んで、楽しませてくれたなと思ってて。
おた:昔は僕たちみたいな人っていなかったじゃないですか。ただ聞いて現場追ってるっていうBeatBoxファンがいなかったのが、今はそういうコミュニティができてるじゃないですか。
イマリ:そうだね。
おた:そういう人たちも、昔は知り合いがほとんどだったイベントに巻き込んでくれたのが、たぶんREGRESSだったなと思って。“昔に戻る”といいつつ、どんどん変わりつつあるBeatboxシーンに対応した昔への戻し方だったなかなと。
84:それめっちゃ思った!今じゃ味わいにくい感じがREGRESSにはあったから、「いいな」と思いましたね。
おた:有名でベテランBeatboxer、普段何かのイベントとかの運営やっているBeatboxer、若手の実力派BeatboxerとかいろんなタイプのBeatboxerがいると思うんですけど・・・
イマリ:層というかね。
おた:そこに”見に来たBeatboxをやらない人たち”っていうのが新たに追加された感じで、でも雰囲気はめちゃくちゃ昔のBeatboxシーンにあったバトルのイベントだったっていう・・・
84:今と昔をいい感じにミックスさせれてた感じというか・・。
イマリ:なるほどね!
84:昔の良さと今の良さをガッチャンコした感じ。
イマリ:JPNCUPはさ、どちらかというと“ライブ”って感じだったじゃん?でも、REGRESSは本当に“イベント”だなって配信見てて思って。参加したら絶対に楽しかっただろうなって。
84:なんかパーティーみたいな感じでしたね。
おた:狼煙はその中間って感じですかね。
イマリ:なるほど。
おた:JPNCUPはヤバい人たちをバーーン集めて、観客もドーンって入れて、割とでっかい会場ボーーンって借りてバトルライブのイベント開きます!て感じ。狼煙は観客も100人くらい入れて普通の箱でやって、観客とプレイヤーが入り混じることはあった、そうはいっても距離はあった感じで、プレイヤー側から観客側に話しかけることはなかったんですよね。でも、REGRESSであったんですよね。
イマリ:それはすごいね!?
おた:プレイヤー側が観客側に質問したりとか・・・お互いに話をする雰囲気があったのがREGRESSだったかもしれない。
イマリ:なんとなく雰囲気わかったわ。前に「Beatboxerには壁はないよ」ってさつまあげさんに言われたことがあるんだけど、私は正直そこまで実感はしてないのね。Beatboxerにあまり会ったことがないから。でも、その距離の近さがREGRESSだと出たのかもしれないね。
おた:壁が全くなかったわけじゃないですけど、距離はめちゃくちゃ近かったですね。
イマリ:Beatboxerもさ、結局ヘッズでもあるというか、”Beatboxが好きでBeatboxやってます”みたいな感じの人で、100%プレイヤーだけってわけじゃないじゃん。聞くのも好きでやるのも好きみたいな。そういった意味では共通点があるからこそ、距離も近かったし、昔みたいなイベントになったかもしれないね。
2021年から急速に拡大してきている日本のHumanBeatboxシーンにおいて、2020年のコロナ渦以前のイベントの雰囲気を感じたことがないヘッズは数多くいる。
しかし、それを感じたことがない人でも、目の前で繰り広げられているバトルに熱中し、そして同じ会場にいる同じくHumanBeatboxを愛するBeatboxerと交流することで、立場関係なくHumanBeatboxへの熱き思いを共有できたということは、2021年以降ではそれほど多くなかったイベントであったといえるのではないだろうか。
「REGRESS」本来の言葉の意味としては”後戻りする””逆行する”などマイナスの場面で使われることが多い言葉ではあるが、今回はイベントのコンセプトとしてプラスのイメージの”原点回帰”の意味として使われた。
しかしながら、「Beatbox Battle REGRESS」は単なる”原点回帰”のイベントではなく、新しい風も取り込んだ新たな形での”原点回帰”のHumanBeatboxのイベントであった。
文責:イマリ
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